わたしは粉々になって散って
眠れないベッドの上で
ブルーライトを浴びながら
口の中の透明なマウスピースを舌の先で触っている。
人間の起こした革命がわたしの中にも
溢れていて
真っ赤なハートのろうそくが熱でだんだんとけていく
いびつなかたちになっていく
誰かの気配で意味もなく
スマホの画面を指でなぞり
この生活がどこまでも続いていく気がして
わたしが変われば世界も変わる?
そんなことあるよと笑う人
コンビニのご飯は美味しいとおもう無責任になれることが羨ましいとおもうナンパ相手に愛があるとおもう過去の人は過去の人だとおもう
いま生きているわたしは
粉々になって散って江ノ島の海の一部になるとしたら
太宰治の女として
やりなおせるのかしら
いや
やりなおしたいわけじゃなくて
ただいろんな悲しみをだきしめて
知らない人の手を握り
あてもなく歩く夜の街に
意味があることを
わかるようになりたいだけだ
これが大人になるということかなんて
胡散臭いセリフを吐き捨てて
自分が思ってるよりみんなちょっと
大人じゃない
わたしたちは健気ながら
粉々になって散ってゆくだけ
愛の星の下で